陽明学・・・・睡起偶成

井上先生の著書「王陽明と儒教」に書かれた人間覚醒の詩

私自身の経験でいえば、陽明学に傾倒するようになったのは、王陽明の人間覚醒の詩に出会った事が最初である・・・・井上新甫先生談

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四十余年  睡夢の中
而今醒眼  始めて朦朧
知らず日すでに停午を過ぐるを
起って高楼に向かい暁鐘を撞く

起って高楼に向かい暁鐘を撞く
なお多くは昏睡して正に茫々
たとえ日暮るるも醒めることなお得ん
信ぜず人間  耳悉く聾するを


私の歳でまだ間に合うかという悔恨と不安と焦燥が募った・・・井上先生談

近頃この詩を読む度に涙が出そうになる・・。もっと早く気が付けば良いのに、人生半ばを過ぎるくらいで、今更・・・・・・
然しながら、見事に孔子の例話で諌めている
   「人はその終わりの到らんことを恐るるなかれ、いまだ始めを持たざるして終らんことを恐   れよ」

監修者から一言・・・・河本三郎氏
  中略・・誰しも人生半ばを過ぎ、四、五十代を迎えると、自分の人生はどうであったかと思いを馳せます。殆どの人が眼が醒めて朦朧とすることもなく、眠ったままの状態で人生を送っているような気がします。今回、井上先生の講演と著書に接することが出来、私自身もこれからの人生を考える一つの節目になったのではないかと思います。

いつの世も人の感じる心、迷いは同じであり変わらないものだと思います。高校の時、漢文でこの詩を読んだ時、何を居眠りして呑気な奴の詩だなと思っていましたが、今思うと何とも懐かしくずうっとこれまで居眠りをしていた様な気がします。
少しは眠りから醒め、人の為世の為になろうと考えるところであります。
by sakumans1 | 2005-11-22 19:25 | 日本の心